今年もウリカン(蝋燭魚)の季節がやってきた。
世界中で様々な正月があるように、ニスカ族にも似たような行事がある。
ちょうど「Chinese New
Year」の時期に近いのでいまでは「ニスカ・ニュー・イヤー」と呼ぶものもいるが(ニスカの人々は中華料理が大好きである)、実際はこのウリカン漁を控
えた時期の行事である。
つい最近まで、ナス河下流域に住むニスカ族は地形的に陸の孤島となっていた。 嵐の多い冬季は数ヶ月にわたり船で街に出て食料を入手することも出来なかっ
た。 夏の間に蓄えた食糧が無くなり始めた3月の中旬には必ず、このウリカンが大群でナス河にやってくる。 まことにSaviour Fish
(救世の魚)であったのだ。