9月にはいるとBC州北部のこのあたりはすでに秋の気配である。もともと温帯 雨林のこの地域は夏も暑くならず、冬もそれほど寒くならない。その代わりに雨が、地域によっては雪が大量に降るのである。

9月上旬に行ったサーモン氷河も雨、雨、雨であった。いつもオーロラを待つ峠では時には数メートル先が見えなくなるほどの霧になったり、氷河からの吹き降 ろしの強風。

早々に諦めて下山、フィッシュ・クリーク にグリズリーを見に行く。今年の夏は鮭の遡上が豊富でこのクリーク以外の川も沢山の鮭が上ってきたとのこ と。ということはクマはこのクリークに集まらなくても良かったので、出張せずに自分の縄張りで充分だったようだ。がクマを見に行くものには残念なことと なった。最近は余り見かけられないそうである。 レンジャーたちもそろそろ自分たちの家に戻る話をしている。毎年来る老夫婦のレンジャーは夏の間涼しいこのクリークで巨大なキャンピングカーで生活し、冬 はホノルルに戻る。なんという贅沢な生活だろうか。

雨も止まないのでスチュワートの町営キャ ンプ場に行ってみた。しかしテントでキャンプしているものはおらず、みなキャンピングカーである。テント 専用のサイトは上に木がなく、芝生には水溜りができている。電気コンセントがあるキャンピングカー用のサイトには木が覆い茂っており水はけも良い。これは サイトを逆にするべきではないのだろうか?　今回見たキャンピングカーで一番大きかったのは、50人乗りの巨大な観光バスを改造した物で、後ろにはなんと ハマーを引っ張っていた。

シーズンも終わりということで家族で来て いたので雨の中テントだとすることがなくなってしまうので、クマは諦めて(うちの家族は毎日のように見ているので...)他のキャンプ場に行く事にする。

スチュワートの町から氷河街道を東に 60km、メジアディン・レイク州立公園には綺麗なキャンプ場があり、そこには雨のときに食事を作れるように大 きな屋根付きの施設がある。管理人とは以前からの知り合いで、雨の際にはその施設にテントを張ってもいいと言われていたのを思い出したのだ。


シーズンも終わりに近いためテントで宿泊 しているものはいない。で、我々はその施設を貸切で使うことができた。 テント専用の金額が$14、約1,400円。

チェックイン時に管理員に去年約束してい た写真集を渡す。夕食をとっていると管理人がグリズリーを見に行かないかと言うので着いていく。車で数分の距離なのだが今までクマを見たことはなかった場 所だ。とても小さなクリークなのだが紅鮭が川いっぱいに泳いでいた。


ナス河の河 口、キンコーラスからこのクリークまで200km程であろうか、遡上を始めると餌を獲らなくなり、産卵の場所まで泳ぐ間は体の栄養を使い尽くし、肌が赤く なるのだという。我々が食用にする紅鮭は河口付近で捕獲された太ったものであり、体はまだ流線型で銀色である。紅鮭は稚魚の際に湖で1年ほど過ごしてから川を下り海に出る。産卵場所の下流 に湖がないといけないのでその条件を満たすところは少ないらしいので荒らされないように気をつけなくてはならない。


周りにはクマが食い散らした鮭の残骸がい たるところにあり、カラスがついばんでいた。この残りの栄養が土に還り巨木ができるのである。


また紅鮭の遡上で一番有名なのはBC州トンプソン・オカナガン地方にあるアダムス・リバーが一番だ。
ロー デリック・ヘイグ・ブラウン州立公園
アダムス・リバー・サーモン・ソサエティー
今年の10月は4年に一度の大遡上となる予想で、200万匹以上が産卵のためにバンクーバーから450kmを遡上するといわれている。車でバンクーバーか ら4時間程度、一度は見ておきたい場所である。